貴船散策

貴船・鞍馬の風物

鞍馬の火祭

炎が夜の闇を照らす勇壮さに魅入る

貴船から叡山電車でひと駅の鞍馬。ここで毎年10月22日の夜に行われている鞍馬の火祭は、京都三大奇祭のひとつです。葵祭や祇園祭といった京都の祭りのほとんどがしめやかに執り行われる中、鞍馬の火祭は勇壮。

伝えられている話では、祭りの起源は平安時代。御所に祀られていた由岐(ゆき)明神を北方の守りとして鞍馬へ移した時のこと。人々は松明を持ち、かがり火で由岐明神を迎えたことが起こりです。

はじまりは「神事にまいらっしゃれ」という合図。子供から青年へと順に、勇ましい装束に着替えた男性たちが松明を担いで街道を練り歩きます。「サイレイヤ、サイリョウ(祭礼の意)」と囃(はや)し、向かう先は鞍馬寺の山門。街の人だけでなく多くの見物人で賑わう鞍馬の闇夜を、赤々と炎が照らし出します。燃え盛る火と祭り特有の熱を帯びた雰囲気が、さらなる熱気を呼ぶ祭りです。

100本以上の松明が集まる荘厳さと、時を越えて伝えられる豪快さは見もの。最高潮を迎えた祭りは、真夜中まで続きます。炎の中に垣間見える活き活きとした鞍馬は、もうひとつの京の姿なのです。

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